展覧会概要

木とともに身近な素材である土。人類はどこででも土の建物をつくってきた歴史があります。日本では、大陸から学んだ技術をもとに「左官」という匠が生まれ、独自の進化を遂げました。その技は、類まれなほどの境地に到達し、やがて世界に向けてその美の創造力を発信するまでになりました。

師に学び技を継承しながらもつねに革新的な進化を続ける。真の伝統の姿を今に維持する職人の世界をご紹介します。

本展覧会は、本年の東京展と平成28年秋の神戸展との2部構成となります。江戸前職人の世界から新進気鋭の達人までを紹介する東京展。左官技術の礎である京の歴史と道具から最新の泥団子まで、幅広く土の世界をお楽しみ下さい。

会期2015年8月17日(月)〜2015年9月26日(土)
会場ギャラリーエークワッド
東京都江東区新砂1-1-1竹中工務店1F
開館時間10:00〜18:00(最終日は17:00まで)
休館日日曜・祝日
入場料無料
主催公益財団法人 竹中大工道具館
共催公益財団法人 ギャラリーエークワッド

展示内容

京に学ぶ
「左官」という職名は京都で定着しました。高度に発達した京壁の技が日本の左官技術の原点となっています。その創世記となった江戸時代の史料や道具、明治に発展した技術を道具の視点から紹介します。新たに見つかった江戸時代末期の鏝は、これまでの左官史を書き換えます。

千の鏝(こて)
左官がつかう鏝の種類は千におよぶといわれます。なぜそこまでの種類が必要だったのか。そのほとんどは数寄屋のためのものでした。真行草を表現する繊細な肌理(きめ)や角の丸みの備えを解説します。左官仕様のすべてを踏襲した久住章の道具。自ら分析した鏝の形とその意味を映像を交えながら展示します。

美を創造する達人
土という素材を自在に操り、五感に訴える美の世界を創造する技。久住有生(なおき)による土の造形の世界を展開します。

東京の鏝
関東の土には兼定(かねさだ)が合う。戦前から昭和30年代にかけてつくられた東京鏝の名作をご紹介します。兼定の鏝をこよなく愛した名匠榎本新吉。常に技と道具の探究に余念をもたず、後進に伝える。生粋の江戸前気質は多くの人々に親しまれていました。榎本氏の道具に秘められた職人の創意に迫ります。

イベント

オープニングイベント「美を創る匠の技」

メインの展示となる土の造形は開催初日に完成します。版築(はんちく)で固めた土の粒子が崩壊寸前の状態で維持される様は、太古から続く技術を京壁伝統の美意識で現代の解釈にとらえなおし、二次元の壁の世界を空間に広げようとする野心的な試みです。その姿は、建築の境界を超えてアートの領域にまで到達しようとしています。その完成の瞬間を公開します。

日時8月17日(月)13時〜(終了時間未定)
場所ギャラリーエークワッド 展示会場(入場無料、申込不要)
ゲスト久住有生(左官職人)
 

どろだんごをつくろう!
子どもの頃、一度はつくったどろだんご。今では子どもが土に触れる機会も少なくなりました。学研から発売になった「どろだんごの王様」の考案者鈴木真由美さんは、本展で紹介する榎本新吉氏のお弟子さんです。師匠直伝の技を進化させ、光るどろだんごを芯からつくります。考案者が指導する体験教室です。

日時8月22日(土)13:00〜15:00
場所竹中工務店東京本店1F
講師鈴木真由美(造形作家)
参加費無料(ただしGakken科学と学習「どろだんごの王様」(1,458円)を
ご購入の上ご持参下さい。当日、会場でもお買い求め頂けます。)
定員30名(要申込み) ※中学生以下は保護者同伴でお願いします。
申込方法(受付期間:7月1日〜8月21日)
◎ウェブメール こちらから
◎往復ハガキ(ハガキ1枚につき1名様まで)
[往信用裏面]①イベント名②参加者氏名(フリガナ)③郵便番号・住所
       ④電話番号⑤年齢
[返信用表面]宛先に申込者の郵便番号・住所・氏名を記入。
       裏面は通知に使用するので未記入のこと。
[申込先]〒651-0056神戸市中央区熊内町7-5-1竹中大工道具館イベント係
 

講演会「現代建築と土 —超高層オフィスビルにグリーンを—
シンガポールのラッフルズプレイスに伊東豊雄建築設計事務所設計、竹中工務店施工・監理の超高層オフィスビル「キャピタグリーン」が完成しました。「都市開発で緑を減らすのではなく、逆に緑を増やそうという発想」(伊東氏)が生かされた、自然と建築の融合を具現化したデザインです。エントランス大壁を左官職人久住有生氏が担当しました。本講演会では、講師に建築家伊東豊雄氏と左官久住有生氏をお招きし、プロジェクトにまつわる土の造形についてお話を伺います。

日時9月11日(金)18:30〜20:00
場所竹中工務店東京本店2F ABホール
定員先着200名(申込不要・入場無料)
講師伊東豊雄(建築家、伊東豊雄建築設計事務所代表)